本離れしてもいい時代
近年本離れが進行していると言われています。この記事を読まれている方の中にも、日常的に読書をする方や、そうでない方、様々な方がいます。
本を読むことで人生の擬似体験を可能にする。
正しい知識は本で身につける。
集中力を養うことができる。
皆さんも例に挙げたような理由で読書を勧められることが多くあるかと思います。今回は本離れを題材に読書とは何か。について考えてみました。
- 日本の出版販売額(取次ルート)
- 『出版指標 年報 2020年版』より
こちらは全国出版協会が発表している出版物の販売額の推移です。書籍、月刊紙、週刊誌の全てが減少傾向にあることがわかります。書籍に関しては緩やかに減少していますが月刊紙などは急激にその販売額を減らしています。
また若者を中心に読書離れが進むと言われていますが、その理由はなんでしょうか。筆者は読書に対して情報の獲得という本質的な意義を見出しています。つまり本とは情報の媒介手段なのです。誰かの考えたことや集めた情報を文字を通して私たちの脳に取り込む。この作業こそが読書だと考えています。
もちろん心理的な安定を得るため、生活リズムを整えるため、文字や表現方法を知るためなど様々な理由が読書にはあると思いますが、それらは副次的な理由ではないでしょうか。
そして読書をしなくなった理由を若者の無関心などという風に結論付ける傾向があるように思われますが、私はそうではないと考えています。
先ほども説いた通り読書とは情報伝達の道具なのです。つまりその道具に変化が生じているというのがいちばんの理由なのではないでしょうか。100年、200年も昔、人々は馬や自らの足を用いて遠い街まで移動していましたが、現在では自動車や鉄道、航空機、船舶など様々な道具(移動手段)が用いられています。それと同様に徐々にではありますが、本という道具にも時代の波が押し寄せているのではないでしょうか。
筆者の私自身、読書をよくします。本は深い知識を与えてくれるからです。しかしそれと同時にYouTubeなどの映像ツールから情報を得ることも多々あります。こういったSNSは話し言葉で入ってくる情報ならではの親しみやすさがあります。
その他にもインターネット上に公開されているWikipediaといった辞典的なサイトも多く用います。これらは作者の情報などが欠如している分信憑性にやや難ありですが、初学者にとって非常に使い勝手の良い入門書として役立ちます。
このように私たちは情報伝達の手段として、本だけではなく様々な方法がある時代に生きているのです。読書本来の魅力が失われるわけではないですが、多様化した手段がそれぞれの魅力を発揮しているということは素晴らしいことではないでしょうか。
このブログに出会った方も、私の個人的な見解を知ることになりました。それは旅先で得る土産話のようなものですが、ワンクリックで遠く知らない個人の意見を耳にできるならば、それは歴史上最高に多様性に富んだ社会に暮らしている証拠だと言えるでしょう。