耳ラジブログ

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国際情勢の正しい見方とは!?

「国際政治を見る眼」

英国のEU離脱問題や、イラン情勢、中国の東シナ海南シナ海への海洋進出など、ニュースの絶えない国際情勢。平沼騏一郎首相が残した「欧州情勢は複雑怪奇なり」という言葉はいまだに説得力を持ちます。
今回は国際政治を見るときに必要となる「国際政治を見る眼」をご紹介します。

 

 

1.国際政治はアナーキー


まず、国際政治の置かれている状況をご説明します。我々が暮らしている国内政治において最も大きな存在は国家というファクターです。国家は国内の暴力を独占しており、国家の定めたルール、すなわち法律を破った者を裁くことができます。しかし、国際政治において国家一つ一つを支配する世界国家のような上位の権威が存在しません。そのため、国際政治はアナーキー主権国家より上位の権威の不在)という状況に置かれているのです。

 

 

2.  パワーポリティックスの世界


上述したように国際政治はアナーキーであるので、主権国家は戦争を仕掛けられてもその攻撃を犯罪と認定する世界裁判所も、その判決を強制的に実行する世界警察や地球軍は存在しないのです。国連軍があるのではと思った方もいるかと思いますが、国連軍は国連憲章の上では各国が軍隊を拠出して存在することになっていますが、実際には司令本部が置かれているだけで実働する部隊は存在しません。
このような国際環境で国家は自らの身は自らの身で守らねばなりません。そのため各国は軍隊を持ちますし、自国の安全を確保するために軍事力・経済力などの国力を強くしようとします。その他にも資源や利権を確保しようと国家は国益のために行動します。
つまりは国家は権力を求めある権力闘争の関係にあるので、自国の国益を最大化するために必要な手段であるパワーを求めるんです。これを国際政治学ではパワーポリティックスといいます。

 

 

3.相対的利得の追求


国際政治はアナーキーであり、国家は自国の国益を最大化するためにパワーを強く求めるということをこれまで述べてきました。では国家は自国のパワーをどのようにして測っているのでしょうか。この章では国家が絶対的利得ではなく相対的利得を求めるという点についてご紹介します。
国家間の競争は相手との比較によって始まります。例えば自国で最新の戦車が10台生産されたとして、その国の軍事力が優れているのでしょうか、もし隣国にはさらに高性能な戦車1000台に加え、ステルス戦闘機まで配備していたらどうでしょう。隣国からの侵攻を受けてしまったら、対向のしようがないです。何が言いたいかというと、自国の安全や優位とは他国や敵対国の軍事力・経済力などと比較して考えなければ意味がないのです。このように他者と比較したときの利得を相対的利得いいます。
米中貿易摩擦で見てみれば、アメリカの産業もダメージを受けていますが、それよりも中国のダメージが大きければ相対的にアメリカが得をしたことになるということです。

 

 

まとめ


国際政治にかかわるニュースを見るときに重要なのは、国内政治と違い世界政府のような国家よりも上位の権威が存在しないということ(アナーキー
そのため国家は自国の安全、国益を最大化するためにその手段である権力を求めるということ(パワーポリティックス
そしてパワーポリティックスの中では、絶対的利得ではなく相対的利得を求めるということ。

これらの基本的な国際政治を見る眼を使えば、日々のニュースの裏で働く原理・原則が見えてくるでしょう。