耳ラジブログ

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考えよう!理想の政治

政治とはなんだろうか、大学で政治学を学ぶときにぶつかる根本的な疑問。

そもそも政治の定義とはなにか。アメリカの政治学者デイビッド・イーストン氏はthe authoritative allocation of values for a society 日本語では「社会に対する価値の権威的配分」となる。

つまりはお金とか人間の労働力とか医療サービスとかを誰に、そしてどのように分け与えるかを権威的に決めること。近代以降の権威は国家に与えられている。

とはいえ、この定義だけでは私たちが身近に感じるような政治は明確に見えない。例えば高等教育の学費無償化など。学生のみならず子供のいる世代にとって学費は重たい負担だ。かといって中卒で働くのは難しい。もちろん同級生で中卒で働く人はいるだろうけど、みんながそうしたら確実に仕事が足りない。

教育が必要な社会なんだから無償化してほしいという声は大きいだろう。しかし同時に高齢化の時代にはさまざまな年金や公的年金が求められる。私たちが暮らす日本では、日本政府の権威のもとに、そうした予算の配分が決められている。これこそ「社会に対する価値の権威的配分」だろう。

 

そして人々はその配分の方法や量などについて様々な考えを巡らせてきた。中世ヨーロッパでは絶対王政、王権神授説といった特定の一族が政治を代表して行うシステムがあった。近代では民主主義というものが発達した。資本主義に対抗して社会主義もできた。この二つはついこの間まで冷戦という形で、お互いの思想の正しさを証明しようと争ってきた。


冷戦の終結で「歴史の終わり」などと言われたりもしたが、私は技術の発達や社会の変化が、新たな思想の誕生を促すと思う。労働階級の誕生が共産主義社会主義の思想を生み出し、高等教育の必要性が増したことで教育無償化を実践する国が増えたのだろう。

要は人々の願いが生まれさえすれば、新しい正義のかたちが作り出されるということ。数学や物理の世界では、あるものを観察してそれがなにかを確かめることが大切。しかし政治や経済では、実態をよく知ることも大切だが、どうあるべきかという理想を考えることも欠かせない。この理想こそが社会を前進させてきた。

今の日本を初め世界の国々では、今回のパンデミックにより大きな変動が起きている。異例の地滑り的勝利を果たした韓国の与党。自民党内を初め維新の会などを含めて大きな減税勢力の誕生。アメリカがWHO(世界保健機関)への資金拠出停止。

混乱する現状を把握することすら難しいが、ステイホーム週間を向かえるに当たって、政治がどうあるべきかを考えていきたい。


イギリスの政治学者ジョン・ロックは著書の『統治論』にて「統治の目的は人類の善福にある」と述べた。私たちの善福とはなにか、あるいは幸福とはなにかという意思を明確に持てたらと思う。